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<title>ビジスタニュース - 山形浩生</title>
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<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1536302.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
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<description>担当者より：山形浩生さんの書評連載「山形月報！」の2006年12月分です。山形さんといえば、訳書の『要約　ケインズ　雇用と利子とお金の一般理論』（ポット出版）と、『この世で一番おもしろいミクロ経済学』（ダイヤモンド社）が大変話題になっています。年末年始の読書対...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2011-12-24T00:00:01+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>山形浩生さんの書評連載「山形月報！」の2006年12月分です。山形さんといえば、訳書の<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4780801710/" target="_self" title="">『要約　ケインズ　雇用と利子とお金の一般理論』</a>（ポット出版）と、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4478013241/" target="_self" title="">『この世で一番おもしろいミクロ経済学』</a>（ダイヤモンド社）が大変話題になっています。年末年始の読書対象にぜひ。あと、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4862381502" target="_self" title="">『訳者解説』</a>（バジリコ）についての<a href="http://www.sbbit.jp/article/cont1/20820" target="_self" title="">インタビュー</a>（聞き手は三浦天紗子さん）も～。では、メリー・クリスマス！<br>
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<u>配信日：2006/12/27</u><br>
<br>
<br>
呪いがついにとけたか！　久々に外国プロジェクトが決まりそうな年末、いかがおすごしでしょうか。ここしばらく、またもや古い本ばかり読んでいて、あまり新刊書に触れていないのが残念。実はいま読んでいるロレンス・ダレルの大傑作小説『アレキサンドリア四重奏』は年内に<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4309623018/" target="_self" title="">改訳版</a>が出るという噂をきいて、訳の善し悪しを見るために原書で読んでおこうとおもったんだけれど、どうも間に合わなかったようだ。<br>
<br>
ちなみに、ダレルはもともと翻訳で価値があまり下がらない文を書くし、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/B000JAOXZE/" target="_self" title="">既訳の高松雄一訳</a>（河出書房新社）は、いまでもまったく問題のないレベル。どこかで見かけたら読んでみることをお薦めする。青臭さと華やかさがアレキサンドリアを舞台に乱舞し、人が都市を造り、その都市が人を形成する驚異の作品だ。機会があれば読んでほしいし、来年になったら出てくれるかな。<br>
<br>
さて、都市の保全とか古い建築が好きな人だけにわかるネタだが、明治から残っていた木造三階建ての下宿屋として名高い（そして消防署には忌み嫌われていた）本郷館がついに建て替え決定。今年度いっぱいの命だ。残念ではあるが、正直いってもはやあちこち明らかにガタがきていて保存のしようがないし、やむを得ないかな。<br>
<br>
でも、こうした惜しまれつつなくなる建物の一方で、戦後昭和の名建築と呼ばれるものが、次々に寿命を迎えてまったく惜しまれることなく取り壊されている。それらを見物して、建築家のこめた思いとその現状、そしてそれらの持つ形態のおもしろさやユニークさを文章とイラストであますところなく伝える磯達雄＆宮沢洋<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/482220488X/" target="_self" title="">『昭和モダン建築巡礼 西日本編』</a>（日経BP社)はなかなかおもしろい。明治の近代建築保存は、藤森照信らの建築探偵が盛り上げに大きく貢献したけれど、それの昭和建築版にも発展できそうな雰囲気もあるし、意外に身近な建築もあるはずなので、興味ある方は手にとってみては。<br>
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あと、ビジネス系では橘玲<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4344980093/" target="_self" title="">『マネーロンダリング入門』</a>（幻冬舎新書）が実におもしろい。具体的な手口満載。ライブドアやカシオなど実際の事件を細かく説明し、どこで何が行われたかをわかりやすく教えてくれる。それにしても、A銀行に100万円預けて残高証明をとってから、それをB銀行に移してそっちでも残高証明をとり、両方併せて200万ありますという偽装をやったとか（そしてそれを会計事務所が見過ごしたとか）、信じられない話だらけで、正月の手軽な読み物にも好適だ。プライベートバンキングの幻想をあっさり踏みつぶす部分もたいへんためになります。<br>
<br>
それにしても今年は――と一年をふりかえろうとして、えーと、何があったかな。いつもいつも目先の仕事に追われて、気がつけば年末だ。著作権延長の話もあったし、ウィニーの判決もいつの間にか出ていたんだねえ。<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/406206846X/" target="_self" title="">『マオ』</a>（講談社、上下）を読んで毛沢東関連であれこれ調べていたのもずいぶん昔のように思えるけれど、今年だったのか。あれもやんなきゃ、これもやんなきゃ、そうこうしているうちに、また一年がたって、気がついてみれば今年もほうぼうに不義理ばかり残して終わってしまいましたよ。来年はもっと中期的な見通しのある年にしたいなあ。<br>
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●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1515119.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1515119.html</link>
<description>担当者より：山形浩生さんの書評連載「山形月報！」の2006年11月分をアップいたしました。山形さんの最新訳書はジョン・マリンズ、ランディ・コミサー『プランＢ　破壊的イノベーションの戦略』（文藝春秋）です、こちらもどうぞー。

配信日：2006/11/22


先日、『エ...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2011-10-08T16:00:28+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>山形浩生さんの書評連載「山形月報！」の2006年11月分をアップいたしました。山形さんの最新訳書はジョン・マリンズ、ランディ・コミサー<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4163744207/" target="_self">『プランＢ　破壊的イノベーションの戦略』</a>（文藝春秋）です、こちらもどうぞー。<br>
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<u>配信日：2006/11/22</u><br>
<br>
<br>
先日、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/B000MQ3UM2/" target="_self">『エコール』</a>を観てきたのですが、低予算なのに不思議な空間の味わいを出していてとてもよい映画でした。森の中にある隔絶された女子校で、寮から森の中に吊された街灯の下を少女たちが歩いてゆく様は、実にシュールで幻想的でほとんどSF的な雰囲気を醸し出しておりました。でも、炉な方々をねらい打ちしたようなあざとい映画でもありまして、隣にすわってきた、黄色い服を着た、絵に描いたようなデブのキモヲタの方が、少女たちのメコスジくっきりなバレエ場面になるたびに息を荒くなさるのがとても気持ち悪うございましたことですよ。<br>
<br>
さて、それとは全然関係なく、最近いっぱい読んでいるのがイザベラ・バード・ビショップの各種旅行記。この人の<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4061593404/" target="_self">『朝鮮紀行』</a>（講談社現代文庫）は、あの<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/488380478X/" target="_self">『嫌韓流』</a>（晋遊舎）のネタ元としても使われている本で、一九世紀末の朝鮮半島を、齢六〇で旅して回った化け物スーパーおばさんの書いた旅行記。その観察は微に入り細をうがち、産業状況から統治の状況まで何一つ見逃さないすばらしい記録となっている。<br>
<br>
そしてそこで明らかに描かれるのが、当時の李氏朝鮮社会の末期的な状況だ。完全に収奪階級と化した貴族や役人、そしてちょっとでも努力したりすると、収奪の対象として目をつけられるからと、あらゆる努力を放棄した庶民。その悪循環のため、当時の朝鮮はひどい状況にあり、ソウルも韓流ドラマにあるようなきらびやかな大都市なんかではなく、ほとんどスラムの寄せ集めみたいな代物でしかなかったことがはっきり書かれている。<br>
<br>
彼女はその前に日本にも立ち寄って、東北地方をはじめ、西洋人はだれも足を踏み入れなかったような奥地を踏破している。その記録が<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4582763294/" target="_self">『日本奥地紀行』</a>（平凡社ライブラリー）。日本も当時未開の地で、衛生状態も道路事情もきわめて悪く、とんでもない旅行だったようだけれど、非常に冷静に当時の日本の地方部が描き出されていて実に楽しい。<br>
<br>
他にも、この人は、中国の奥地を踏破したり（<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4582807062/" target="_self">『中国奥地紀行』</a>平凡社東洋文庫）ハワイを旅行したり（<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4582832490/" target="_self">『イザベラ・バードのハワイ紀行』</a>平凡社）イランへ行ったり（邦訳なし。出して！）と、とにかくとんでもない大旅行家なのだ。それもすべて中年以降！　いやすごい。旅行（特にバックパック系の冒険旅行）が好きな人は、読んだだけでもう浮き足立つこと請け合い。そろそろ冬休みの計画を練る頃だと思うけれど、こんな本を読むと、つい大旅行の計画をたててしまいそうになる。うーむ。<br>
<br>
あと、今月はまた小説方面で収穫。先月に続いて、待ちに待ったガルシア＝マルケス<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4105090143/" target="_self">『コレラの時代の愛』</a>（新潮社）は、うーん、悪くはないが期待したほどではなく、先月紹介した<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4105090178/" target="_self">『わが悲しき娼婦たちの思い出』</a>（新潮社）のほうがお気楽な部分もこめておすすめかな。でもそれにもまして、川上弘美<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4167631067/" target="_self">『真鶴』</a>（文藝春秋）はすごいなあ。これについてはまた次回書くかもしれない。ではまた。<br>
<br>
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●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1500733.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1500733.html</link>
<description>担当者より：山形浩生さんによる書評連載の2006年10月分をアップいたしました。また、山形さんと守岡桜さんが訳したジョージ・Ａ・アカロフ、レイチェル・Ｅ・クラントン『アイデンティティ経済学』（東洋経済新報社）が出たばかり。そちらもぜひ。

配信日：2006/10/25
...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2011-08-19T14:00:36+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>山形浩生さんによる書評連載の2006年10月分をアップいたしました。また、山形さんと守岡桜さんが訳したジョージ・Ａ・アカロフ、レイチェル・Ｅ・クラントン<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4492314148/" target="_self">『アイデンティティ経済学』</a>（東洋経済新報社）が出たばかり。そちらもぜひ。<br>
<br>
<u>配信日：2006/10/25</u><br>
<br>
<br>
最近は古い長い本ばかり読んでいて、しかもビジネスっぽいのとは無縁のものばかりだから、いまいち紹介する本に苦慮するところ。ナチス親衛隊だったことが判明して大騒ぎになっているギュンター・グラスの<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/B000J80O9K/" target="_self">『ひらめ』</a>（集英社）とか、脱線のかたまりみたいなロレンス・スターン<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4003221214" target="_self">『トリストラム・シャンディ』</a>（岩波文庫［上下］ほか）とか。ガルシア＝マルケスの邦訳が続けて出るので、それは要チェック。<br>
<br>
でも最近のガルシア＝マルケスはますます真意のつかみにくい小説を書くようになっていて、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4105090178" target="_self">『わが悲しき娼婦たちの思い出』</a>（新潮社）はジジイが14歳の女の子を薬漬けにして本番ぬきでもてあそぶ非常にいやな話を肯定的に描く変な小説なんだが、それが嫌みか本気か区別がつきかねる。翻訳にずいぶん時間のかかった<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4105090143/" target="_self">『コレラの時代の愛』</a>（新潮社）はこれから読むけど、どうなのかな。<br>
<br>
評論方面では、安田理央、雨宮まみ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4798111082" target="_self">『エロの敵』</a>（翔泳社）が非常におもしろい。これは、エロ雑誌やアダルトビデオといったエロ市場がいまジリ貧なのは何のせいなのかを、詳細な歴史とともに分析した結構まじな本だけれど、ぼくみたいな年寄りは、かつての涙ぐましいエロ規制を懐かしく思いおこさせるノスタルジックな本にもなっている。ああ、あったあった、マジックの墨塗りをマーガリンで溶かせるというのにみんな騙されたよねー、とか、一時はヘアがちょっと見えただけで大騒ぎだったのにねー、とか。<br>
<br>
そして全巻通じて、エロの敵はエロそのものであり、それがなまじ市民権を得てしまったのがいけないのでは、と述べる。大島渚なら、エロの敵は権力だとか思うだろうけれど、むしろかつてはそれがあったからこそエロの価値が高かったのだ、というのは実にうなずける。が、ではどうすればいいのかね。いろいろ考えさせられるよい本になってます。<br>
<br>
新書ブームは、ピークを超えてもまた根強いようで、朝日新聞が朝日新書を出した……んだが、最初のラインナップを見ても買いたい本がない。ワンセットもらったけど、みんなすぐ売ってしまったよ。今後、多少はよくなって、ここで紹介できるような本を出してほしいなあ。<br>
<br>
あと、今回は、京極夏彦の新作<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4061824384/" target="_self">『邪魅の雫』</a>（講談社）が未読ながらたのしみ。それと、正式な本ではないけれど、スタニスワフ・レムの評論を勝手に訳したファンジンが出ていたのには驚いた。ファンジンという形態自体が懐かしいなあ。「偶然の哲学」「対話」などといった評論を部分的に訳出したもの。書店じゃ手に入らなくて、赤坂にある「ですぺら」という酒場でなぜかあつかっているので、東京近くのレムファンは入手するといいんじゃないかな。<br>
<br>
<br>
●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1480542.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1480542.html</link>
<description>担当者より：山形浩生さんの2006年９月分の書評連載分をアップいたしました。あと、山形さんと守岡桜さん、 森本正史さんの訳した『ぼくらはそれでも肉を食う』は好評発売中！

配信日：2006/09/27


今月はなかなか脈絡がありません。まず、自分でやった本の紹介はちょ...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2011-06-14T15:00:39+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>山形浩生さんの2006年９月分の書評連載分をアップいたしました。あと、山形さんと守岡桜さん、 森本正史さんの訳した<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4760139621/" target="_self">『ぼくらはそれでも肉を食う』</a>は好評発売中！<br>
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<u>配信日：2006/09/27</u><br>
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今月はなかなか脈絡がありません。まず、自分でやった本の紹介はちょっとイエローカードだが、おもしろいんですもの、というわけで紹介。最近、特急翻訳であげたのが拙訳ステーィブン・ジョンソン<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4798111635/" target="_self">『ダメなものはタメになる』</a>（翔泳社）。つい先日までやっていた東京ゲームショウにあわせて出ていて、まだ本屋には並んでいないところもあるのかな？　でも週明けにはおそらく出回りはじめるので乞うご期待。<br>
<br>
これは一時出回った（いまでも信者のいる）「ゲーム脳」に対する反論本とでも言おうか。ゲームやると頭がよくなるし、テレビだっていまの『24 -TWENTY FOUR-』を見て理解するにはどれだけ知性が必要なことか。とにかくこれまでのゲームやテレビ批判は、そうしたものにあまり触れていない年寄りや本の虫学者が書いた無知丸出しの本ばかりなんだけれど、本書はちゃんとゲーム世代が体験を交えつつ書くので説得力がある。そして本書の最大のテーゼは、ゲームやテレビにはいいところ「も」あるというのではなく、むしろそれが大衆の知能底上げにすら貢献しているのだ、というもの。さてそれを真に受けるかどうかはあなた次第。<br>
<br>
ビデオやテレビのバーチャルな世界からリアルな世界へ、というわけではないけれど、ダニエル・リベスキンド<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4480857842/" target="_self">『ブレイキング・グラウンド』</a>（筑摩書房）。この人は、けったいな建築ばかり作っている現代建築家で、博物館とか非日常的な建築を作るにはいいけど、まともに人が暮らしたりする建築ができるとはだれも思ってなかった。その人が、NYの貿易センタービル跡地開発プロジェクトを仕切ることになってしまった。この本は、建築家特有の自意識過剰な自分語りに、唯我独尊の勝手な建築的思いこみをからめた設計プロセスを開陳して跡地開発プロジェクトについて述べた本。ぼくはこの人の建築も文も大っきらいだけれど、ちょっとおもしろいところもあるし、でかいプロジェクトがちょっとした偶然で変な方に転ぶ過程としてもおもしろいかも。<br>
<br>
もう夏休みは終わってるし、夏休みの宿題に苦労する年代の人はこれを読んでいないと思うけど、もしまだの人がいればおすすめが<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4861990319/" target="_self">『アリエナイ理科ノ教科書IIB』</a>（三才ブックス）。まえのより少しおとなしめだけれど、相変わらず得体の知れないヤバい実験いろいろ。体内に眠る科学少年少女をよびさましたい方、是非どうぞ。気に入ったら前のやつもあわせて買うといいでしょう。<br>
<br>
さて、ここ数カ月は小説方面でいくつか拾いものがあった。マーシャ・メヘーラン<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4560027463/" target="_self">『柘榴のスープ』</a>（白水社）、アウグスト・モンテロッソ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4879956775/" target="_self">『黒い羊 他』</a>（書肆山田）、オクタビオ・パス<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4812015383/" target="_self">『ソル・フアナ・イネス・デ・ラ・クルスの生涯―信仰の罠』</a>（土曜美術社出版販売）、そしてアーザル・ナフィーシー<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4560027544/" target="_self">『テヘランでロリータを読む』</a>（白水社）。この最後のやつを読んで、ぼくは頭をかかえてしまったのだ。これはホメイニ革命下で弾圧された女性たちが集まって英米文学の読書会をする話なんだけれど、その人たちは<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4102105026/" target="_self">『ロリータ』</a>をはじめとする小説を、いまのぼくたちとは比較にならない切実さをもって読む。それは例えようもなく幸せな本との関係だ。本書は欧米でベストセラーになり、それを誉める人たちは「弾圧にもかかわらず文学の力はそれをはねかえしてすばらしい」という。<br>
<br>
でも、それはウソなのだ。その人たちが文学のパワーをまざまざと体験することができたのは、まさに彼女たちが弾圧されていたから、なのね。弾圧されていたからこそ、文学は力を持った。文学は――そしてたぶん映画も――そういうものなのだ。そして文学の力の復権を望むことは、おそらくその抑圧の復権を願うことでもある。だからこそ、ブンガク屋の多くは、文明と豊かさを否定したがる。ゲームやテレビを批判し、株でお金を儲けている人たちを罵倒し、不幸をほめたたえる。冒頭の、ゲーム脳の人たちもそうだ。でも、それがいかに反動的で危険かを認識する必要がある。そして<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4560027544/" target="_self">『テヘランでロリータを読む』</a>は、それをあえて認識させずに目隠しすることで人気を得てしまっているんだが……。<br>
<br>
<br>
●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1454921.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1454921.html</link>
<description>担当者より：メルマガ「週刊ビジスタニュース」にかつて掲載した山形浩生さんの書評連載の2006年８月分です。山形さんの最新訳書であるピーター・Ｔ・リーソン『海賊の経済学』（NTT出版）も好評発売中！

配信日：2006/08/23


ぼくはMBAじゃないけれど、アメリカ留学中のコ...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2011-04-09T00:00:32+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>メルマガ「週刊ビジスタニュース」にかつて掲載した山形浩生さんの書評連載の2006年８月分です。山形さんの最新訳書であるピーター・Ｔ・リーソン<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/475712242X/">『海賊の経済学』</a>（NTT出版）も好評発売中！<br>
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<u>配信日：2006/08/23</u><br>
<br>
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ぼくはMBAじゃないけれど、アメリカ留学中のコースが半分はビジネススクールと共通だったので、MBA予備軍とは嫌というほどつきあわされたのだ。そして、そいつらの多くは本当にいやなやつらだった。口先だけで立ち回ろうとし、漁夫の利を得たがる連中。何でも自分が主導権を握らないと気が済まない権力亡者。実務にたずさわったこともない、頭でっかちの理屈屋。グローバル化だの戦略的マーケティングだの、お題目でしかモノが言えなくなっている唐変木。本当に真摯で優秀なやつはほんの一握り。そしてMBAの講義は、そういういやな連中をのさばらせるようにできている。ある企業がそこそこうまくやっていたら、下手にさわらないほうがいい場合は多い。壊れていないものを直すこたぁないやね。<br>
<br>
でもMBAの講義では、何もしないより、まちがっていても何か――それもできるだけ派手な大なた振るい――をやったほうが、革新的だとか積極的だとかいってほめられたりする。何もしないというのは、それがいかに正しくても、チャレンジ精神がないと言われてかえって低い成績がついている。ぼくのいたところは、すでにかなり実務経験のある人がいくところだったので、みんなそのMBA連中を蛇蝎のごとく忌み嫌っていた。あんな連中に、経営なんかできるわけないよ、といって。バカみたいに構造改革だの戦略だので経営者がつとまるかい。それでも、そのMBAどもは卒業して各種企業の経営者候補として高給で雇われてるんだが……実は、ダメな会社ほどMBAが多いんだって。<br>
<br>
その点を指摘するところから始めるのが、ヘンリー・ミンツバーグ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4822245160/">『MBAが会社を滅ぼす』</a>（日経BP社）だ。おもしろいよ。上にあげたような問題に加え、そもそも経営なんて泥臭いドタ作業の連続なんだから、それを紙の上の分析だけですまそうって根性がまちがってるのだ、という当然の指摘を行うのが、なんと現在の経営学重鎮の一人であるミンツバーグだから説得力はひしひし。もともとミンツバーグは、現場を見ない机上の経営学を大きく批判していた人だけれど、本書はかれがさらに自分の膝元にまで切り込んだおもしろい本だ。MBA取得で留学をめざしてる人、一読して頭を冷やしてね。<br>
<br>
さてまったく目先のちがう本。ソーンヒル＆パーマー<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4862280064/">『人はなぜレイプするのか』</a>（青灯社）も収穫だよ。これは強姦というのがちゃんと進化的に意味を持つ生殖行動なんだというのをきちんと論じた堅実な本なんだが、欧米では主に教条フェミニストのお題目のためにすごいバッシングにあった。教条フェミニズムでは、強姦というのはセックスが目的ではなく、権力関係を確立するためのものだ、と主張する。セックスしたいのではなく、女を屈服させて貶めるのが目的だ、と。このイデオロギーでは、強姦がセックス目当てだというのは都合が悪いのだ。<br>
<br>
わかりにくい？　たとえば、だ。若いセクシー美女と梅干し婆さんとで、強姦の標的になりやすいのはどっちだと思う？　もちろん前者だ、というのが常識だと思うけれど、欧米の一部のイデオロギー環境では、この両者に差はない、ということになる。だから、強姦を避けるためには性的に挑発するよな服装や行動を控えろ、といった議論がナンセンス、なんだって。本書は、そんなことなくてちゃんとセックス要因は重要だから、強姦を減らすにはそれを無用に刺激するのは避けよう、という。いや、日本では（一部の教条輸入フェミを除けば）当然の話なんだけど、この本が問題になること自体が驚異ではある。<br>
<br>
それにしても暑い日が続くので、ちょっと涼しい地下の写真集なんかいかが。西澤丞<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4763006258/">『Deep Inside』</a>（求龍堂）と内山英明ほか<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4766117018/">『トーキョー・アンダー』</a>（グラフィック社）が、示し合わせたように前後して出たけれど、巨大地下建造物や土木インフラの写真集。すぐにでもＳＦ映画のセットになりそうな場所ばかり。すごいよ。<br>
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字数がつらくなってきた。白田秀彰<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4797334673/">『インターネットの法と慣習』</a>（ソフトバンク新書）は、インターネットを核に、単なるネット論にとどまらず法や規制全般にまで議論を拡大したなかなか野心的な一冊。あちこち向いているので、流し読みにも好適だけれど結構深くてためになるのでおすすめ。<br>
<br>
あと、中島隆信<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4480063145/">『これも経済学だ！』</a>（ちくま新書）は、実証的な生産性分析の一方で、大相撲やお寺などこれまでちょっと変わった面から経済学を論じていた中島のつまみぐい的な一冊で、日本版<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4492313788/">『ヤバい経済学』</a>的な面ももちつつ、安易に善悪を決めたがったり、すぐに「弱者」の看板に頼りたがったりする（立岩真也みたいな）一部の論調をきっちり批判していてとても有益。これまた短いし、夏ばてしつつもさっと読める。あー、今回はまったくまとまらず。ごめんね。ではまた。<br>
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●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1438238.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1438238.html</link>
<description>担当者より：山形浩生さんによるメルマガ「週刊ビジスタニュース」書評連載の2006年７月分です。ラブレーから秋山莉奈のDVDまで幅広く論じられています。当時を思い出しつつお読みいただければと思います。

配信日：2006/07/26


仕事がとれない～！　おかげで日本にいて企...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2011-02-28T16:30:26+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>山形浩生さんによるメルマガ「週刊ビジスタニュース」書評連載の2006年７月分です。ラブレーから秋山莉奈のDVDまで幅広く論じられています。当時を思い出しつつお読みいただければと思います。<br>
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<u>配信日：2006/07/26</u><br>
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仕事がとれない～！　おかげで日本にいて企画書ばかり書いていて、本を読む暇もあまりない……はずが、妙に長い本をやたらに読んでいるのはなぜでしょうか。某所で、洋式便所で尻をふくときに、いちいち立ち上がるか（立ちあがんないよネー）、尻は前からふくか後ろからふくか、という非常に有益な議論をかわしていたのであるが、この手の議論なら数百年前にラブレーが<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4000070614/">『ガルガンチュワ物語』</a>（岩波書店）において十分に展開しているので久々に読み返したりしております。これは名作。尻のふき方議論は、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4000070614/">『ガルガンチュワ物語』</a>の13章のあたりにございますが、<br>
<br>
<i>かみなどできたなきしりをふくやつは<br>
いつもふぐりにかすのこすなり。</i><br>
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いや至言でございます。そのまま<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4000070622/">『パンタグリュエル物語』</a>（岩波書店）まで読んで、結婚の是非に関する議論などもきわめていただきたい、と。思う次第。渡辺一夫の名訳で、岩波から。全五巻だけど、夏休みにでもどうぞ。高校生の頃に本を持つ手に力が入らなくなるくらい爆笑しつつ読んだっけ。なつかしい。<br>
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さて、ビジネスマンらしきもっとまじめな本としては、友野典男<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4334033547/">『行動経済学』</a>（光文社新書）。光文社新書は、素人をたぶらかすいいかげんな本の印象が強かったが、こんな好著を出すとは！　従来の経済学では、人間は合理的な行動をとるという想定になっているけれど、実はちがいますという最近の理論を、これでもかこれでもかと紹介してくれる。人々の実際の行動がもとだから「あるある！」という話がたくさん出てくるし、読んでいて楽しい。<br>
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楽しい本から一転して暗い二十世紀の歴史。アン・アプルボーム<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/456002619X/">『グラーグ』</a>（白水社）は、ソ連の強制収容所の話を徹底的にまとめた大著。ナチスの絶滅収容所より遙かに多くの人を死に追いやったのに、左翼知識人たちの保身のために軽視され、ソルジェニーツィンの告発はあったもののほとんど黙殺されてきた、恐怖の施設群だ。その創設から、ゴルバチョフによる終焉までを描ききった、重苦しい、でも重要な記録だ。おそろしい話が淡々と描きだされてすごみがある。本書刊行と時期をあわせたわけじゃないだろうけれど、８月にはソ連強制収容所の全貌を初めて描ききったソルジェニーツィン<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4835442482/">『収容所群島』</a>（ブッキング）も、著者の新序文をつけて復刊される。文学的処理が多いが、エピソード的にはこちらのほうが驚きの連続。<br>
<br>
もう一つ、ビジネスマンっぽい本を。奥村宏<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4000224646/">『株式会社に社会的責任はあるか』</a>（岩波書店）は、まだ読みかけなんだがたいへんいい本。岩井克人が<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4582832709/">『会社はだれのものか』</a>（平凡社）でだらしなく「会社は利益度外視して社会貢献しろよー、会社は社会のものなんだから社会に奉仕するのは当然だろー」と物欲しげな議論を述べていたのに対し、ちゃんと批判をくわえたうえで、企業というものととらえ方について見直そうというもの。根拠もきちんとしているし、百パーセント賛成ではないにしても読むに耐えるよい本。<br>
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で、なんだ。日銀がゼロ金利解除しちまったか。ああああ。シートベルトしめておけよ、という感じ。気晴らしに秋山莉奈のDVD<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4754260856/">『楽園―二十歳のシークレット・パラダイス』</a>（英知出版）、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4883805336">『失楽園―RINA、オトナへの決意』</a>（晋遊舎）でもどうぞ。巨乳ブームはいい加減食傷気味だし、美人系アイドルの多くはとにかくダイエットしすぎでヒップがぺったんこのまな板みたいでがっかりなんだけれど、そんな中で特に去年暮れから美尻派の期待と注目を一身に集めている逸材。臀部の魅力に敏感な人にはおすすめ。こんなんで夏バテに備えてくださいな。ではまた。<br>
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●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
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</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1377915.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1377915.html</link>
<description>担当者より：山形浩生さんがメルマガ「週刊ビジスタニュース」に連載してくださっていた書評の2006年６月分です。なお、文中で触れられている『アメリカ大都市の死と生』は、その後同じ版元より山形浩生さんの新訳で2010年に新装版として刊行されました。

配信日：2006/06/2...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2010-12-15T06:00:19+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>山形浩生さんがメルマガ「週刊ビジスタニュース」に連載してくださっていた書評の2006年６月分です。なお、文中で触れられている<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4306051188/">『アメリカ大都市の死と生』</a>は、その後同じ版元より山形浩生さんの新訳で2010年に<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4306072746/">新装版</a>として刊行されました。<br>
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<u>配信日：2006/06/28</u><br>
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ぼくの知らないうちに、ロバート・Ｄ・パットナム<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4760129030">『孤独なボウリング』</a>（柏書房）の翻訳が出ていたんだね。これはおもしろい本で、昔はふつうに存在していたボウリングとか教会組織とかといったコミュニティ組織がだんだん崩壊し、町内会やPTAといった互助組織もみんな嫌がって、そうした組織がますます変な××××の巣窟になってさらに求心力を失い、安全やセーフティーネットや民主主義の基盤さえ社会は失ってきたんだ、というもの。ちゃんとデータの裏付けもあってやたらに分厚いけれど、主張はシンプルだしおもしろいよ。日本でも、町内会の宴会とか盆踊りとか地域麻雀大会とかがいった地域のつながりが重要だとか、いやそれがいまはネットのオフ会で代替されているとか、議論はいろいろできるが、まずはベースとして立ち読みくらいはしたいところ。<br>
<br>
同じような話を都市計画の分野から指摘したのが先日他界したジェーン・ジェコブス。街の活力や安全は、人々が共有して相互監視しあう街路とそれを支える中小店舗のおかげなんだ、という立場から、描いた餅のようなこぎれいな都市計画を批判した古典的名著が<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4306051188/">『アメリカ大都市の死と生』</a>（鹿島出版会）。読んでも楽しいし、少なくともそういう議論があることくらいは知っておいておくれ。類似のテーマで、エヴァン・マッケンジー<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4790709728/">『プライベートピア』</a>、竹井隆人<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4790711390/">『集合住宅デモクラシー』</a>（どちらも世界思想社） は、新しいコミュニティの可能性をうたっているが、説得力を感じるかはあなた次第。<br>
<br>
小説などでも、これまたいつのまにか知らない本がいっぱい出ている。ほんとはフョードル・ソログープ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4286006395/">『小悪魔』</a>（文芸社）とか、ムヒカ＝ライネス<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4120036618/">『七悪魔の旅』</a>（中央公論新社）とかをお薦めしたいんだが（特に後者！）、ここはカブレラ＝インファンテ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4791762754/">『煙に巻かれて』</a>（青土社）でもあげとくか。あちこちのだじゃれを見つけてほくそ笑みつつ、「しかしこれはオレ以外には理解できまいよ、絶対売れないだろうねえ」などと優越感にひたりつつ、スノッブに葉巻を吸うようにちびちびとやるのが正しい読み方の、葉巻と喫煙をめぐるエッセイ群。楽しいんだが、まあ感動やら説教やらといった卑しいモノをエッセイに求めたがるきみたちにはわかるまいねえ。うふふ。<br>
<br>
最後に前回の続きみたいな<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/493145061X/">『原典 ユダの福音書』</a>（日経ナショナルジオグラフィック社）。ちゃんと全訳が出ているのはすばらしいし、発見までのいきさつや、この福音書の背景となっているグノーシスという宗教思想まできちんと解説してある好著。グノーシスって、この世を作ったのはインチキな神様で、本当の神様の魂を持った一部エリートだけが救われるんだからみんなさっさとポアしちゃおうという、オウムまがいのとぉんでもないカルトで、キリスト教初期に弾圧されたと泣き言を言うんだが、そりゃ弾圧されても仕方ないよ、こんな教義じゃ。それがはっきりわかる点で、これまでのモゴモゴした要領を得ない学者どものグノーシス解説書より上。<br>
<br>
あと、これは本物のユダの福音書だけれど、それはこれが紀元200年頃に実在していた、という意味での本物であって、別に本当にユダという人物がキリストの言葉を正確に記述しました、という意味での本物じゃないからね。そこらへん、この本ではときどき曖昧にしていて、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4047914746/">『ダ・ヴィンチ・コード』</a>（角川文庫）に便乗して商売しようという魂胆とあわせてちょいと鼻につく。が、まあその程度の商売っけは大目に見ましょうか。<br>
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<br>
●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1340175.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1340175.html</link>
<description>担当者より：2010年５月に配信された、メルマガ「週刊ビジスタニュース」での山形浩生さんによる書評連載の最終回です。山形さんと守岡桜さんの訳によるフィリップ・ショート『毛沢東　ある人生』（白水社、上下）もよろしくどうぞ。

配信日：2010/05/26


ベトナムから戻っ...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2010-09-02T15:00:19+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>2010年５月に配信された、メルマガ「週刊ビジスタニュース」での山形浩生さんによる書評連載の最終回です。山形さんと守岡桜さんの訳によるフィリップ・ショート<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/456008081X/">『毛沢東　ある人生』</a>（白水社、上下）もよろしくどうぞ。<br>
<br>
<u>配信日：2010/05/26</u><br>
<br>
<br>
ベトナムから戻ってきて、前回予想だけで書いたものをざあざあと読み流しているけれど、ほぼ予想した通り。したがってそれぞれを細かく解説したりはしないけれど、田中秀臣<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4023308137/">『デフレ不況』</a>（朝日新聞出版）は、日銀の陰湿ないじめの例があれこれ出ていて、エグい内部のいじめ体質が浮き彫りになっているのは予想しなかったところ。そういうゴシップ的にも大変おもしろいので、是非一読を。<br>
<br>
さて、なんだか多くの人が伊藤計劃評を期待しているそうで、優先度をあげて読み終えましたよ、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4150309841/">『虐殺器官』</a>（ハヤカワ文庫JA）。大変に楽しめた――ヨハネ・パウロの動機づけと主人公の最後の行動以外は。そこで急に話がしりすぼみになるのが残念。そういうオチにしたいなら、前半で先進国のテロの話をもっと書き込まないと。あるいは主人公が出張先で、昔はアメリカでテロしていたやつに出くわして、「いまはそれどころじゃないんだ」と言わせるような話をいくつか伏線で張っておくとか。<br>
<br>
ついでに、虐殺器官が多少のプロパガンダで止まらなくなり、身内の殺しあいになってしまうなら、進化的にはあまりに不利でしょう。そのままでは説得力を欠く。いま書くなら主人公がヨハネ・パウロの使徒となってしばらく行動しつつ、不穏な三角関係を保つような展開にして、あそこはこう書き直してみよう、それと虐殺器官自体があまり前面に出てこないので不満だな、発動をもっと歴史的に描いて（冒頭のエピソードは大躍進時代の中国かなんかにするとか）、進化的な必然性に厚みを加えたうえで、主人公の目の前でそれが突然発動する場面かなんかを出して、ついでにその器官の停止条件を導入するといいな、すると主人公とママのうっとうしい思い出話もやめて、語り手はかつてどこかの大虐殺の生き残りにして、そのうえであれやこれや加筆すると、おおこれはなかなか……と考え出したところではっと気がついたんだが、そういえばこれってぼくが書いた小説じゃないんだよね。<br>
<br>
でも、小説の盛り上げ方もディテールの構築も、なんだか……すごく既視感があるのだ。ヨハネ・パウロのオープンソース資料の分析、CIAが現地語も読めないエージェントを派遣するというグチ。戦争のコスト高騰からくる採算性のなさ、そして何より、本書のテーマになる、言語が身体器官だというチョムスキー説の解説も。<br>
<br>
なんだかぼくのウェブサイトを切り貼りすると、この小説の元型ができちゃいそう。むろん、著者がぼくのウェブなどを読んでいたという証拠はないし、ぼくが考える程度のことは頭がいいやつなら思いつけることではある。それに英語のことわざに、「Great minds think alike」というのがある。かれも似たような関心を持って、似たようなネタを漁っていたんだろう。<br>
<br>
でも「こういうネタならあの話……」と思っているとそれがすかさず出てくるのを何度か読みながら体験し、なんだかこそばゆいような。それだけにこの最後は「オレならこのラストにするまでにもう一回ひねる！」という気がして、たいへんスプランジな感じ。でも、ぼくもどきの小説だけあって、その知見も世界観も、そこらのくだらん平和ボケした日本の小説よりはるかに上だ。ぼくのこんなコラムをずっと読んできたあなた、是非お読みあれ。楽しめることうけあい。<br>
<br>
ちなみに巻末の解説で、解説者は伊藤が本書のために「集めた資料もおそらく膨大なものだろう」と述べるんだけれど、その例として挙がるのは、ピンカーにデネット、ガザニガなどの通俗書。ほとんどこの欄で紹介したような本ばかりで、これのどこが膨大なの、と鼻白む思いをするのだけれど、一方ではこの欄で紹介した本が、世間的にはかなり高度なものだということを示しているものでもある。<br>
<br>
だからぼくの言うことを信じて、ちゃんと紹介したものを読んで活用すれば、あなたも今頃は伊藤計劃になれていたかもしれないのに。そうなれなかったのは、別にあなたに才能がないからではなく、ひたすらあなたの努力が足りなかったからなのよ、というのがぼくの最新訳書、マシュー・サイド<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4760138382/">『非才！』</a>（柏書房）のテーマなので、興味ある方はご一読あれ。<br>
<br>
出版事情についてのグチはあちこちで聞かれるけれど、よい本はたくさん出ているし、この欄が始まってからも、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4150309841/">『虐殺器官』</a>などで参照されている行動経済学や脳科学や、その他多くの分野の書籍は以前とは比べものにならないくらい充実してきているのだ。<br>
<br>
ベストセラーのリストだけ見ていると、あるいは流行ばかり見ていると、腐ったタレント本やら扇情本、柳の下のドジョウ狙いの追随本、返品増加に倒産騒ぎ、そしてこんな有益なメルマガさえなくなる劣悪な財務状況、さらにはiPadだのなんだのと、本を取り巻く環境は悪化しているように見えるし、出版界のレベルは落ちているようにも見えるし、そしてその通りだという部分も多い。<br>
<br>
でも一方で、読める本のストックとして見ると、実は状況はそんなに悪くないのかも、とぼくは思っている。そしてちょっとそのためのガイドがあれば、みんなずっと有効にそうした本やら情報やらを使えるのに、とも思う。こんなコラムが、少しでもその役にたてたことを祈りたいけれど、どうだろうね。ではまたどこかで。<br>
<br>
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●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1327630.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1327630.html</link>
<description>担当者より：2010年４月の山形浩生さんの書評連載です。また、山形さんと守岡桜さんの訳でフィリップ・ショート『毛沢東　ある人生』（白水社、上下）が刊行されました。山形さんは同じ著者の『ポル・ポト　ある悪夢の歴史』も訳されています、併せてどうぞ。

配信日：2010/...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2010-07-23T12:30:00+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>2010年４月の山形浩生さんの書評連載です。また、山形さんと守岡桜さんの訳でフィリップ・ショート<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/456008081X/">『毛沢東　ある人生』</a>（白水社、上下）が刊行されました。山形さんは同じ著者の<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4560026270/">『ポル・ポト　ある悪夢の歴史』</a>も訳されています、併せてどうぞ。<br>
<br>
<u>配信日：2010/04/28</u><br>
<br>
<br>
日本はずいぶん寒いそうですが、お元気でしょうか。こちらベトナムのカントーは、いつもながら大変お暑うございます。実は今回のベトナム出張は、ぼくがチームリーダーというやっかいな役回りで、いつものように気楽にさぼれないので、あまり読む本も持ってこられませんでしたよ。<br>
<br>
そのため、今回のはほぼすべて見込み。戻ったらこんな本を読みますというご報告。ちゃんとした書評にならないのはお許しあれ。<br>
<br>
出張以外にも、いくつかまとめて訳書を仕上げなくてはならずバタバタしていたのも本が読めなかった一因。少々自己宣伝になるけれど、ちょっと苦労したジェイン・ジェイコブズ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4306072746/">『アメリカ大都市の死と生』</a>（鹿島出版会）が出て、もともと都市問題については必読の名著のほまれ高い本であると同時に、原著刊行から半世紀たった位置づけの見直しを行っている点で、ぼくとしてはちょっと自信作。<br>
<br>
それと同時に鹿島出版会から、ケヴィン・リンチ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4306052540/">『時間の中の都市』</a>が復刊。これは都市というものにおける時間的な価値についてきちんと考え、古い建物の保存の意義についてまじめに考えたよい本なので、そういう話に関心ある人は、ジェイコブズと併せてお読みくださいな。結論ありきの独善的な話に終わらないのが、ケヴィン・リンチのよいところです。<br>
<br>
そうした古い建物とは真逆の、現代にしかあり得ないまったく新しい産業・科学的な構造物ばかりを写真におさめた西澤丞<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4778312120/">『Build the Future』</a>（太田出版）はすばらしい写真集。これはもう、見て！　としかいえないすごい迫力。気に入った人は、この人の他の作品集も是非どうぞ。<br>
<br>
こうした建物も含む空間的な話としてはコリン・エラード<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4152091266/">『イマココ』</a>（早川書房）がおもしろそう。動物レベルから空間認知をとらえてあれこれ論じた話のようで、アングル次第ではおもしろそう。先のケヴィン・リンチも、都市の居心地のよさを空間認知の容易さと結びつけていて、たぶん関係してくるはず。<br>
<br>
経済分野としては、田中秀臣<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4023308137/">『デフレ不況』</a>（朝日新聞出版）が戻ったら出ているはず。だんだん（やっと！）責任追及がゆるゆるとではあるものの始まりつつある日銀のこれまでの政策（またはその不在）について歴史的にフォローした勉強になる一冊のはず。いまの日本の経済状況や、各種政権の経済政策について俯瞰的な視点が欲しい人は、読んでおくとたいへんに勉強になるはず。ぼくも勉強します。経済の勉強といえば、ローマーマクロとか斉藤誠マクロとか、えらい教科書が出てるので、それを読みましょうといいたいところだが、ぼくでもこの水準までは勉強していない。こちらは一般の方には不要でしょう。<br>
<br>
小説では、伊藤計劃<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4150309841/">『虐殺器官』</a>（ハヤカワ文庫）を読みたかったんだが、出張にはなるべく読み終えたら捨てられる本を持ってくることにしているので（そうでないと帰りの荷物が重くなるのですもの）、読み終えてません。<br>
<br>
ちなみに持ってきたのはトム・ロブ・スミス<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4102169318/">『チャイルド44』</a>（新潮文庫、上下）。スターリン時代のソ連の状況を背景に起きる連続殺人事件、そしてそれを延命させた「社会主義に犯罪はない」という変なイデオロギーの作用など、非常にうまく構築されていて、三回くらいは再読に耐えるとてもよいサスペンス小説。ハイフォンの某所に寄贈してきました。同じ著者の<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4102169334/">『グラーグ57』</a>は次回出張で読むと思う。<br>
<br>
でもそれよりも、これまた帰ったら読まなくてはいけないのがナボコフ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4309709621/">『賜物』</a>（河出書房新社）。これは例の池澤夏樹による世界文学全集の最新刊だけれど、この全集の目玉の一つでしょう。旧訳はイマイチの声が高く、原著の繊細さをかなりダメにしていたので、沼野充義の新訳はとても楽しみ。ナボコフらしい、くどい小説で何が起こるわけではないけれど、しつこい感じの文が好きな人にはおすすめ。<br>
<br>
逆にキビキビ話が展開しないと気がすまない人は、うーん、たぶんナボコフは向いていないので、この一冊もおすすめはしない。おそらくこの次あたりに出るギュンター・グラス<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4309709648/">『ブリキの太鼓』</a>はもっと万人にお勧めできる名作。グラスもナチスだったことがバレて味噌をつけたし、特に近作ではその小説の古くささ――それも特に考えているわけではなく、鈍感なだけの古くささ――がうんざりさせられるんだけれど、この『ブリキの太鼓』は掛け値なしの傑作。小説が面倒な人は、映画で観てもあまり価値は落ちないと思う。人によってはウナギが食えなくなるけれど。<br>
<br>
ではまた。<br>
<br>
<br>
●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1314690.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1314690.html</link>
<description>担当者より：山形浩生さんの書評連載で、2010年３月に配信した分です。また、山形さんが訳されたジャック・ケルアックとウィリアム・バロウズの『そしてカバたちはタンクで茹で死に』（河出書房新社）が発売されています。ご関心のある方はぜひ。

配信日：2010/03/24


こん...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2010-06-22T16:50:23+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>山形浩生さんの書評連載で、2010年３月に配信した分です。また、山形さんが訳されたジャック・ケルアックとウィリアム・バロウズの<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4309205399/">『そしてカバたちはタンクで茹で死に』</a>（河出書房新社）が発売されています。ご関心のある方はぜひ。<br>
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<u>配信日：2010/03/24</u><br>
<br>
<br>
こんにちは。<a href="http://bisista.blogto.jp/archives/1305556.html">前回</a>述べたスターリン伝を読むのは先送りにいたしました。とてもじゃないが読み切れないし、このぼくですら予備知識があまりに足りない。でも途中まで読んでいたら、他の本があまり読めなかった。なので今回は少なめです。<br>
<br>
前回の原稿を書いた頃からどういうわけか知らないけれど、最近の地球温暖化の性急な防止策議論に疑問を呈する本がまとめて出ている。クライメートゲートが徐々に盛り上がってきて、好機だと見たのかな（なんてそんなお手軽な本はないけれど）。<br>
<br>
１冊はスベンマルク＆コールダー<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4769912137">『“不機嫌”な太陽』</a>（恒星社厚生閣）。これはちょっと変わった本で、そもそも地球温暖化は二酸化炭素より大きな原因があるんじゃないか、という本。これはぼくの訳したロンボルグの本でも少し触れられている説。実はいまの温暖化予測に使われている気候モデルは、雲をあんまりうまくモデル化できていない。空中に水蒸気があるだけでは雲ができない。なにか核を形成するきっかけがいるんだけれど、それがよくわからないので、モデルにできないのだ。でも、雲があると日光も遮られるし、温暖化の予測も結構ちがってくる。<br>
<br>
著者たちは、雲は宇宙線によってできる、という説を唱えている。そしてこれ自体は、特に変な説ではない。素粒子を見るのに使う霧箱というのはまさに、その原理で成立している。ただそれが地球規模でどこまで言えるのか？　本書は、科学者・スベンマルクと、科学ジャーナリストのコールダーが組んでその仕組みを追っていった、とてもおもしろい１冊。ちょっと専門的になるけれど、目を通しておいて損はない。かれらの言う通り、これが二酸化炭素の影響を上回るほどのものなのか、あるいは二酸化炭素もそれなりに効いているのかはわからないけれど、これがまったく影響しないというのは考えにくいし、温暖化への影響はさておき、雲の形成が宇宙の活動とつながっているという、宇宙気候学という変わった分野について知ることができるのはなかなか面白い。スベンマルクはこの説を唱えたために学界で冷遇されてしまってかわいそう。おもしろい先駆的な分野だから、普通に研究させてあげてほしいなあ。<br>
<br>
二番目は、ちょっと意外な選手。ヴァーツラフ・クラウス<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4822247988/">『「環境主義」は本当に正しいか？』</a>（日経BP社）だ。現職のチェコ大統領が、いまのあまりに性急な地球温暖化防止策議論に疑問を呈し、環境がイデオロギー化して、環境とさえ言えばどんないい加減な議論でもまかり通る状況（かれの言う「環境主義」）に危惧を述べている本。各種の「環境主義」的な議論や、京都議定書や先日のコペンハーゲンで取りざたされた各種の対策などについて、経済学的にきちんとした反論を提示している。温暖化への性急な対策を訴えるゴアの議論や、その尻馬に乗ったスターン報告への詳細な疑問と批判は、実にまっとう。またその内容について、若田部昌澄がこれまたとてもきちんとした解説を加えていて、逆の意味で屋上屋を架すような、やりすぎなほどの親切さ。そして最後に、いったい政治家としては何を重視しなくてはならないか、どういう世界を目指したいかを実にはっきり述べる。変な環境主義のために自由を犠牲にしてはいけない。きちんとした検証と事実に基づいた政策を進めねばならない。それが実に簡潔かつ明瞭に述べられている。どっかの国の「友愛」とかいうお題目とは大違い。<br>
<br>
そもそもぼくは、チェコの現職大統領がここまでのものを書けるというのに驚愕した。今の日本政府のトップは、首相も経済関連閣僚も、経済学のイロハも知らないとおぼしきド素人の烏合の衆。割引率って何、とかリスクって何、GDPって何、といった基本すらわかっていないことが、国会答弁その他で次々にあらわになっている。無知なもんだから空気に流されるのをよしとして、温暖化もなんだかよくわからないままに、勝手なことを口走っている。それに比べてこの本の立派さ。少なくとも、何が問題になっているのか、どこらへんにつつきどころがあるのか、科学的な内容に加えて、さすが経済学博士だけあって、細かい割引率の考え方にまでふみこんで詳細に議論している。そして疑問だと思えば空気に流されずに言うことを言える――すばらしい。知識も知見も勇気もある、こんな政治家が日本にもほしいなあ。とはいえ、だからといってチェコが経済的によい状態かといえばそんなことはないのがむずかしいところ。<br>
<br>
さて、経済の話といえばうっかり見落としていたけれど、スティグリッツ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4198629137/">『フリーフォール』</a>（徳間書店）が出ていた。正直いって最近のスティグリッツは、通俗本を出しすぎだとは思うけれど、でもこれは今回のサブプライム＆リーマン危機のまとめとして非常によいし、そこから経済学批判につなげるというありきたりな構成とはいえ、天下のスティグリッツがやっていると迫力がなかなか。住宅ローンの問題や各種の金融機関規制の問題については、ある程度類書でも指摘されているような話が多い。そこからの経済学批判は、やはり過度の合理性批判と、そして経済学の中でもインフレの危険性を過度に言いつのる連中への罵倒批判！　インフレなんか怖くないし、デフレのほうが怖いから、インフレを恐れずにガンガン政策を売っていかんかい！　というのをはっきりと言明している。ホント、日本にはクルーグマンがインフレ目標捨てたとか、スティグリッツがインフレ目標捨てたとか、嘘八百を並べる人がたくさんいるので、ちゃんと読んで確認しといてね。あと、グローバルな経済についても、中国はよくやっているのできちんと評価しろ、世界的な基金がいるんじゃないの、等々。アメリカのシステムについても今後の対応についても、立場をわきまえない（いい意味で）果敢なアイデアがいっぱいで、非常におもしろい。<br>
<br>
さて、小説では、山尾悠子<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/433605021X/">『歪み真珠』</a>（国書刊行会）なんかよいのでは。山尾悠子は……山尾悠子です、という以外に形容できない、不思議な世界の持ち主。幻想小説が好きな人なら是非に、というところだが、幻想小説が好きな人で山尾悠子を知らない人はいないので、ここに書くまでもないか。でも知らない人は、これは短編集だし、とっつきやすいんじゃないかない。<br>
<br>
あと、不勉強でこれまで知らなかったが、伊藤計劃<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4150309841/">『虐殺器官』</a>（ハヤカワ文庫）、柳下毅一郎が薦めていたので読み始めたが、ちょっとすごい。まだ読み終えていないんだけれど、いつの間にかこんな作家がいたのか！　しかもいつの間にか消えていたという……驚きです。読み終わったら何か書くかも知れないが、とりあえずご報告まで。<br>
<br>
それにしても先週、たまっていた訳書を３冊続けて完了。われながら大したもんだ。来週はさらに２冊挙げる予定。おれってよく働くなあ。では、皆様また来月、無事年度末を乗り切ってくださいな。<br>
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●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1305556.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1305556.html</link>
<description>担当者より：山形浩生さんによる書評連載の2010年２月分です。ご一読ください。

配信日：2010/02/24


ラオスから帰ってきたら、日本は寒うございますねえ。さて今回は、なんだか全般に科学っぽいセレクション。

まず科学ライターとしては、いまや世界有数のサイモン・シン...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2010-06-02T11:52:43+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>山形浩生さんによる書評連載の2010年２月分です。ご一読ください。<br>
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<u>配信日：2010/02/24</u><br>
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ラオスから帰ってきたら、日本は寒うございますねえ。さて今回は、なんだか全般に科学っぽいセレクション。<br>
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まず科学ライターとしては、いまや世界有数のサイモン・シン＆エツァート・エルンスト<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4105393057/">『代替医療のトリック』</a>（新潮社）。ホメオパシーとか水の伝言とか、カイロプラクティックとかヒーリングとか、針灸とか、自然分娩とか。基本は、すべてインチキ。まともな代物は一つもない。みんなプラシーボ効果かそれ以下の代物。でもこういう本って、本当に読んで理解すべきあわれなビリーバーたちは、そもそも手に取らないんだよね。境界線上で迷っている人はどうぞ。<br>
<br>
そしてすでにこの手の代物なんかまったく信じていない人は、ほとんどお笑いと思って読みましょう。ガチガチの科学論者が、何かをきっかけにコロリとダマされることもあるし、オレオレ詐欺と同じく、自分だけはだまされないと思っている人がいちばん危ないので、たまには自分の知識を確認するもの重要。それに、ここまでありとあらゆるものがなで切りにされると爽快というか……。ちなみに、共著者のエルンストの経歴がなかなかおもしろい。向こう側の世界を一応知っているという……。<br>
<br>
で、次はフランク・ウィルチェック<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4152090979/">『物質のすべては光』</a>（早川書房）。簡単そうに書かれていて、む、む、むずい。いや、物には何で重さがあるのか、といううような話を展開していて、ふんふんと読んでいるうちに、一体何の話が展開されているのかわけがわからなくなるという代物。でも、科学者が自分のやっていることについて、わかっていることもわかっていないこともごちゃまぜに出してくる様子は、楽しげで読んでいて気分のいい本。しかし現代物理学はここまでくると、「もうそんなこと考える必要があるんですかぁ？」という域に達していて、そろそろ予算打ち切ってもいいかなという感じもする。<br>
<br>
さてもう少し予算もつけたいし、読んでいてわかる代物が、基本的な生物学。最近久しく手に取っていなかったブルーバックス。デイヴィッド・ダヴァほか<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4062576724/">『アメリカ版 大学生物学の教科書　第１巻 細胞生物学』</a>（講談社ブルーバックス）は、あの分厚く重いLIFE（という生物学の教科書）のいくつかの章を訳出しようというありがたい試みの皮切り。この最初の巻は、細胞のすべて。<br>
<br>
細胞というとこれまた分厚く重い教科書の『細胞の分子生物学』があるけれど、あそこまで手を出す気のない素人なら十分すぎる内容がつめこまれているし、書き方が常にはっきりした目的意識を持っているので、読んでいてだれない。流石に最後のほうにきて細胞内のエネルギー反応の話とかになると、ちょっとしんどそうだけれど。ちなみにこれがMITの一般教養で使われている教科書だとしきりに書かれているけど、さしものMITの連中も、こんな本全部やるわけじゃありませんので、興味が失せたらそこでやめればよろしい。このあと遺伝と分子生物学も出るとのことなので、みなさん買い支えましょう。<br>
<br>
さて息抜きという感じで、与那原恵<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4480426833/">『美麗島まで』</a>（ちくま文庫）。沖縄出身の著者の母親の死から始まり、そこから少しずつ先祖の来歴をたどるうちに、話は沖縄と台湾を行き交い、そこに日本やアメリカが徐々にからんでくる。家族史と政治史とが、著者自身の探求の旅そのものと入り混じり展開される、ゆっくりとした不思議なノンフィクションだ。<br>
<br>
歴史に翻弄される沖縄と台湾の歴史の中で、人々もまた翻弄されつつ、でも一方ではごくごく当たり前の生活を送り、幸せだったり幸せでなかったりする暮らしを紡ぎ続ける。実はちょうど昨日、もはや存在自体が歴史そのものになり、ほとんど人間ではなくなってしまったある独裁者のすさまじい伝記を訳し終わったところなんだ。そういう殺し合いと権謀術策にまみれた大文字の伝記とか歴史とかを離れた、歴史の成り行きを甘んじて受け入れるしかない人々の姿を通してあらわれてくる時の経過が描かれていて、本当にいい本です。<br>
<br>
……と書いているところへ届いたのが、サイモン・セバーグ・モンテフィオーリ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4560080453/">『スターリン 赤い皇帝と廷臣たち』</a>（上下巻）および<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4560080526/">『スターリン 青春と革命の時代』</a>（いずれも白水社）。えーと、ぼくもこんな分厚い本を三冊も半日で読めるわけじゃないが、これがすさまじい代物なのはほぼ約束ずみ。まさに<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4480426833/">『美麗島まで』</a>とは正反対の本で、スターリンをめぐるクレムリンのぐちゃぐちゃの権謀術策にまみれた、大文字の歴史に常軌を逸した人々の胸が悪くなるような活動をまぶした代物のはず。<br>
<br>
ぼくが訳したばかりの伝記にもこの人はさんざん登場して事態をひっかきまわしている。うーん、読まざるを得ないが、スターリンの他の伝記って読んでないからなあ。方向性としてはスターリンを単に怪物としてとらえるのではなくもう少し人間っぽく描こうとする試みらしいんだけど、あれだけのことをした人物がいまさら、愛妻家だったとかいう程度の話で人間になれるものか、まずはお手並み拝見。<br>
<br>
でも、次回までには読み終わらないと思う。そうでないと次回この欄は空欄になるぞ。というわけで、次回どうなりますやらお楽しみに。<br>
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●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1272383.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1272383.html</link>
<description>担当者より：年始一発目の山形浩生さんの書評連載です。小説から歴史ものまで幅広く紹介されております。

配信日：2010/01/28


年が明けましたねえ、遅ればせながら。わたしはラオスの片田舎でこれを書いておりますですよ。みなさん、前回紹介した『ルワンダ中央銀行総裁日...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2010-03-25T14:45:21+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>年始一発目の山形浩生さんの書評連載です。小説から歴史ものまで幅広く紹介されております。<br>
<br>
<u>配信日：2010/01/28</u><br>
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年が明けましたねえ、遅ればせながら。わたしはラオスの片田舎でこれを書いておりますですよ。みなさん、前回紹介した<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4121902904/">『ルワンダ中央銀行総裁日記』</a>はお読みいただけまして？<br>
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さて、新年もいろいろおもしろい本が出はっておりますよ……と書いてみたんだけど、よく考えるとそんなにないな。まずは何をおいてもコーマック・マッカーシー<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4152090936/">『ブラッド・メリディアン』</a>（早川書房）。もう最近、コーマック・マッカーシーさえあれば小説は他にいらないと思うくらい。<br>
<br>
かれの小説は、設定とかあらすじとか書いてもほとんど意味がない代物で、食べ物を粗末にしてはいけませんとか、２ちゃんねらーどものすがりたがるちんけな教科書道徳をはるかに超越した、残虐で非道な悪に不思議な気高さがあり、人間のつまらない行動の中に、「思い」なんていう卑しい代物を超えた存在があることを感じさせるものばかり。なんだか、傑作しか書けない人というのがいることを思い知らされる。『国境の町』も近々復刊予定。<br>
<br>
経済方面は、ポール・コリアー<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4822247872/">『民主主義がアフリカ経済を殺す』</a>（日経BP社)。先進国は、アフリカやカンボジアにでかけて爆弾落としても選挙やらせて、いやあ民主主義が実現しました、すばらしい、民主主義こそ経済発展の基盤です、という。でも実は貧乏な国では、民主主義はむしろ紛争を増し、国の発展を遅らせてしまうことが統計的に示されている。だから先進国は、独裁でもなんでもいいからまず経済発展させて、それが実現してから民主主義しろと圧力かけるべきだ、というわけ。<br>
<br>
実はこれ、実際に途上国で活動する人々はみんな知ってることで、たとえばロバート・ヤング・ペルトン<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4062690608/">『世界の危険・紛争地帯体験ガイド』</a>（講談社）には「独裁国が民主主義になったら、とにかくその国を逃げ出せ、ものすごい殺しあいが始まる可能性が甚大だから」とはっきり書かれている。ちなみに、この本についてぼくが書いた書評は<a href="http://cruel.org/cut/cut199704.html">こちら</a>。<br>
<br>
こういうと、じゃあ独裁者とその人権弾圧を見過ごせというのか、といきりたつ人がいるが、それに対して著者は「その通り！」と答える。理想をふりかざすばかりが能じゃない、二枚舌とダブルスタンダードも大人の処世術よ。そしてまた、途上国の独裁者だってバカじゃないので、選挙くらい買収虐殺票のすりかえ強制移住等々、あの手この手で結果くらいいくらでも操作するし、それがなおさら状況を悪化させる。下手に選挙させないほうがいいかもよ、というわけ。イラクだって、フセインを温存したほうが国が安定して発展しただろうし、多少豊かになったら国民も「王様にあんまり好き勝手されても困る」と言いやすくなって、民主主義も導入しやすかっただろう。<br>
<br>
でも、少しはなんとかしたら？　あんまし独裁者に好き放題されるのもしゃくじゃない？　それに対して著者が提案する方式というのは、こういうものだ。独裁者は先進国に「きちんとガバナンスします」と叩頭して約束する。そして、その約束を独裁者が守っていたら、独裁政権に対してクーデターが起きたときにも軍事介入して守ってあげると先進国も約束する、というもの。<br>
<br>
いやー、それはどうよっつー気はしなくもない。「きみはろくでもない独裁者だが大人しくしてればクーデターが起きたときに守ってあげるからね」というのは、いいのかよ。でも、他にもよい提案（やるなら一貫性を持った対応しろとか、不安や同情でぶれた対応するなとか）はたくさん載っている。みんなが触れたくない問題に正面から取り組んだえらい一冊なので、途上国問題に関心ある人はどうぞ。いまのハイチ再建にもたぶん係わってくる問題だと思うよ。<br>
<br>
あと、中西準子<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4535585741/">『食のリスク学』</a>（日本評論社）は是非お読みあれ。そう、タイトル通りの本。いまなお続く、ヒステリックな狂牛病問題と、全頭検査がどうしたとかいう無意味な話のあほさ加減、中国製ぎょうざ問題、まったく意味がないどころかかえって有害な有機食品だのをめぐる変な信仰。それをリスク学の権威ともいうべき中西準子が次々に切って捨てる……わけではなく、ちゃんと評価して、どこまでが意味のある話なのかをていねいに教えてくれる、とてもよい本。<br>
<br>
中西準子のすばらしいところは、常にフェアなこと。彼女は、トリハロメタンの問題やダイオキシン問題や合成洗剤問題で、最初は「進歩的」な市民活動家にかつがれることが多い。でも、状況はやがてかわるし、政府だって企業だってちゃんと対応してくる。すると彼女は、「事態は改善されたからもう騒ぐべきではない」ときっぱり言える人だ。そうすると、市民活動家たちは手の平をかえしたように彼女を糾弾しはじめる。後半のインタビューではそうした各種のエピソードも満載。食の安全に関する本当の考え方を学ぶとともに、それを取り巻く政府、研究者、市民活動家、企業、マスコミなどの動きについてもいろいろ考えさせられる。<br>
<br>
ノンフィクション的な読み物としては、ティモシー・ライバック<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4163721207/">『ヒトラーの秘密図書館』</a>（文藝春秋）がちょっといいかな。ヒトラーの蔵書をあちこち追って、その書き込みなどからヒトラーの思想形成を追う本。まったく目新しい発見があるわけではないし、またかなりの部分は憶測にはなっている。でも多少本を読むことに関心のある本稿の読者諸賢にはおもしろいんじゃないかな。本が人を作るのか、それとも人が先にあって本が選ばれるのか。ヒトラーはやっぱり変なやつだったんだけど、この本を読んでいなかったらどうなっただろうか、とか、歴史にIFはないとはいえ、ついつい考えてしまうよねえ。<br>
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こうしてみると、そんなにたくさん奨めたい本があったわけじゃないな。でも四冊もあれば十分でしょう。ではまた来月。<br>
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●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1249697.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1249697.html</link>
<description>担当者より：山形浩生さんの書評連載の2009年末のものです。年末に山形浩生さんが強くプッシュなさっていた本は何なのか――ご一読ください。

配信日：2009/12/24


年末から正月にかけて読む本を買いためておこうかと思っている読者諸賢よ。もしぼくのこの連載を本当に本選...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2010-02-05T13:30:04+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>山形浩生さんの書評連載の2009年末のものです。年末に山形浩生さんが強くプッシュなさっていた本は何なのか――ご一読ください。<br>
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<u>配信日：2009/12/24</u><br>
<br>
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年末から正月にかけて読む本を買いためておこうかと思っている読者諸賢よ。もしぼくのこの連載を本当に本選びの参考にしているのであれば、いま買って読むべき本はまず何をおいても服部正也<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4121902904/">『ルワンダ中央銀行総裁日記』</a>（中公新書）だ。ずいぶん昔の本なのだけれど、長いこと絶版だったのが、この十一月にめでたく増補されて復刊した。<br>
<br>
著者は日銀マンだが、ＩＭＦの技術援助の一環として、一九六〇年代半ばにルワンダの中央銀行総裁として派遣される。そこはかつての宗主国ベルギーが、怪しげなコンサルを通じて自国企業の利益のためだけに各種政策運営をしており、中央銀行ですらまともな帳簿もない状況。<br>
<br>
著者は帳簿の整理から初め、各種の妨害工作にも負けずに、国の発展に資する金融経済政策を次々にうちだし、見事に国を立て直す。その様子が実に生き生きと（時に義憤をあらわにしつつ）描き出される。<br>
<br>
本稿の読者なら、ぼくが開発援助がらみの仕事をしていることはご存じかもしれない。その過程で各地の途上国にいって、中央銀行といっしょに仕事をすることも多いのだ。多くのところでは、先進国や中進国からアドバイザーなるものが常駐している。その多くは、常識を超えた使えない無能だ。本国にいられると迷惑だから、僻地にとばされたのが露骨にわかる。ここまで有能な人間が派遣されたというのは、ぼくから見れば奇跡的なことだ。そして開発援助にこれほどのことができるとは！　もちろん、当事者の言として多少割り引いて読むべき部分もあるんだろうが、それにしてもすごい。<br>
<br>
さらに本書は、中央銀行の役割ということについても、多くの人の考え方を改めさせてくれる。中央銀行の役割というのは、ほとんどの人は理解していないし、またそれを理解したつもりの人の多くは、政策金利がどうしたとか流動性供給が、何とかオペが云々といったテクニカルな話で些末な専門用語をもてあそび悦に入っている。<br>
<br>
でも、この中央銀行総裁のやっていることを見ると、中央銀行とは本来そういうものじゃないことがわかる。いや、そういう部分もあるんだが、それだけではだめなのだ。かれは、実際の経済のプレーヤー――銀行や短資会社ではない、事業者も含めたプレーヤー――と直接きちんと話をする。かれらのニーズを見極め、そこにある歪みを見て、それを中央銀行として正すにはどうすればいいかを考える。中小企業の苦境に対して資金援助を提供し、無意味な規制撤廃を行い、大統領とも話をして、大統領の政策目標を実現するための手法を着実に編み出す。<br>
<br>
それにひきかえ……日本の中央銀行は、社会や政治や経済のニーズをきくことが独立性の侵害だとわめきたて、自分が長期的な確固たるフォワードルッキングな視点を持つと主張しつつ、世間の目にびくびくして朝令暮改をくりかえす。市場との「対話」なるものが一方的な要領を得ない弁明のことだと思っている。いまの日銀を見ていると、この服部正也のような人物がかつていたとはにわかに信じられないほど。<br>
<br>
実は過去一年の金融危機で、世界の多くの中央銀行はちゃんとこれをやっている。中小企業向けの追加融資や融資保証を中央銀行が実施し、必要なところにお金を出し、実際の経済にとって役立つことを、政府ときちんと協議して実施している。先週いたインドネシアでも、いまいるマレーシアでもそうだ。それにひきかえ……。<br>
<br>
本書は、ルワンダの明るい未来を確信する服部のことばで終わる。が、その後ルワンダは、ご存じの通り恐るべき大虐殺の舞台となった。今回の増補版では、それについての服部の苦渋に満ちた小論も収録している。新書だけれど、最近の無内容な量産新書とはわけがちがう、深く重い、繰り返し読むべき本だ。この手の復刊本は、出たはいいけれど増刷されることなくすぐにまた消えることも多いので、いまのうちに絶対買って<br>
おこう。<br>
<br>
今回は、この一冊だけ紹介できればぼくは満足なのだ。あとはおまけで、池澤夏樹の世界文学全集はトマス・ピンチョン<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/430970963X/">『ヴァインランド』</a>（河出書房新社）が出た模様。実はマレーシアからまだ帰っていないので、実物は見ていないけれど、長いしだらだらしているしわけわからんし、ゴジラも忍者も出てくるし、でもそういうひねくれぶりを楽しみたい人はどうぞ、実物をちょっと立ち読みしたい人は、<a href="http://cruel.org/talkingheads/vineland.html">ぼくが訳したのがあるのでこちら</a>もどうぞ。<br>
<br>
ところで<a href="http://magazineworld.jp/brutus/677/">『ブルータス』</a>でぼくと並んで出ている池澤春菜って、池澤夏樹の娘だったのか！　知らなかった。ニコニコ動画で加藤夏希相手にプロレスを熱く語っている変なネーちゃんだとしか思ってなかった。<br>
<br>
あとはやはり小説、マット・ラフ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4163286209/">『バッド・モンキーズ』</a>（文藝春秋）が出ている。軽いけれどおもしろいよ。アメリカのカレッジノベル系の作家で、つまり初期のカート・ヴォネガットみたいな、少しシニカルで饒舌で軽妙で、でもちょっと社会派的な視点も入った感じ。ヴォネガットほどすごくはないけれど、決して悪くはない。<br>
<br>
てなところ。では、みなさま、よいお年を、ぼくはまだまだ今年が終わりそうにありません。東京は凍っているようですが、クアラルンプールはたいへんお暑うございます。<br>
<br>
<br>
●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
</content:encoded>
</item>
<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1239773.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1239773.html</link>
<description>担当者より：山形浩生さんによる書評連載の第５回目です。また、著書『訳者解説』（バジリコ）に関するお話を中心にうかがった著者インタビューもアップいたしました。

配信日：2006/05/24


はいはい、『ダ・ヴィンチ・コード』（角川文庫、上・中・下）を読みましたよ。そ...</description>
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<dc:date>2010-01-17T04:01:26+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>山形浩生さんによる書評連載の第５回目です。また、著書<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4862381502/">『訳者解説』</a>（バジリコ）に関するお話を中心にうかがった<a href="http://www.sbbit.jp/article/13791/">著者インタビュー</a>もアップいたしました。<br>
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<u>配信日：2006/05/24</u><br>
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はいはい、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4042955037/">『ダ・ヴィンチ・コード』</a>（角川文庫、上・中・下）を読みましたよ。それなりによいんじゃないですか。もっとも最後のおばさんが何もかも知ってるんなら、館長は別に焦ってダイイングメッセージなんか残す必要なかったじゃんとか、教団は謎を公表する気がなかったんなら、なぜ後生大事に面倒な手間かけて保存しようとしたのかとか、細かいことを考えだすとアレだけど、クイクイ読めるしうまくいろんな意匠やそれっぽい雑学もちりばめてあるし。<br>
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この手の陰謀論や秘教だの図像学だのの楽しさというのは、何気ないものにいろいろ意味があるのだ！　という部分で、うまくはまればさっきまで何の変哲もなく退屈だった世界が、急に謎に満ち、何かを訴えかけようとしているように思えてきて、世界がさっきよりも鮮やかで意味ある存在に思えてくる。もちろんそれが高じるとトンデモで電波な妄想の世界に入り込んでしまうのだけれど。意味のないところにも勝手に意味を読んでしまうという人間の悲しい性のなせる技ではある。便乗解説書（肯定的なものも否定的なものも）もいろいろ出てきたので、興味があれば気に入ったものを手にとってみそ。<br>
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さてキリスト教の裏の歴史ネタとなると、いまは「ユダの福音書」に触れなくてはいけませんね。キリスト教史上最低の裏切り者として石を投げられ続けてきたユダによる福音書が、天下の『ナショナル・ジオグラフィック』のお墨付きを得てついに復元公開された。これによると、ユダの裏切りはキリストによるやらせであった、とのこと。ユダはキリストに（他の使徒より）気に入られていたので、そういう大役を密かに仰せつかったとか。<br>
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この英訳版はpdfでネットで出回っている。この文献の発見から検討・公開にいたるプロセスを描いたのがハーバート・クロスニー<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4931450601/">『ユダの福音書を追え』</a>（日経BP出版センター）。この種の古文献市場の裏はそれなりにおもしろいが、福音書自体の中身はあまり触れられていないのは残念。福音書自体もそのうち訳が出るでしょう。なかなか楽しいし、結構ストレート。敢えて汚名を着るユダの行動が淡々として胸にしみます。<br>
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さて前に何度も紹介しているけれど、<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4042955037/">『ダ・ヴィンチ・コード』</a>でもポイントの一つとなる「最後の晩餐」の絵はもちろん実際の晩餐の様子を描いたものなんかではない。実は当時の人たちはあんな椅子やテーブルでなんか食事してなかったのだ。当時の人は、ごろごろ寝っ転がって食事をしていた。それを聖書のちょっとした記述から気がつき、生活習慣に関するとても楽しい本にしたてたのが、バーナード・ルドフスキー<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4306052346/">『さあ横になって食べよう』</a>（鹿島出版会）。この人の本はすべて名作なので、気に入ったら他のものもどうぞ。<br>
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あと<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4042955037/">『ダ・ヴィンチ・コード』</a>のテーマの一つは、キリスト教の教会組織成立過程で抑圧された女性の復権だった。類似のテーマを扱っている京極夏彦<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4062735350/">『絡新婦の理』</a>（講談社文庫）は、ぼくは<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4042955037/">『ダ・ヴィンチ・コード』</a>よりおもしろいと思うし、よい小説です。ただシリーズを一通り読んでないとわかりにくい部分もあるのが難。<br>
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他には、何かな。映画はたぶん、『ダ・ヴィンチ・コード』を観るよりは、ムエタイ映画『トム・ヤム・クン！』を観に行くのがおすすめ。特に南米のカポエラとの対戦や、夏木マリみたいな悪の女帝の鞭との対戦がすばらしゅうございますよ。少しでも格闘技が好きな人は是非どうぞ。ただし、まねすると股関節がはずれそうになって非常に痛い目にあうのでご注意を。<br>
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●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
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<item rdf:about="http://bisista.blogto.jp/archives/1220685.html">
<title>山形浩生「山形月報！」</title>
<link>http://bisista.blogto.jp/archives/1220685.html</link>
<description>担当者より：第４回目の山形浩生さんの書評連載です。著書『訳者解説』（バジリコ）も好評発売中ですので、併せてお読みください。

配信日：2006/04/26


前回ちょっと建築ネタを振ったが、住宅建築関連の本をいっぱい見ているのです。中でも、10坪（坪というのは3.3平米の...</description>
<dc:creator>bisista_news</dc:creator>
<dc:date>2009-12-13T18:26:17+09:00</dc:date>
<dc:subject>山形浩生</dc:subject>
<content:encoded><![CDATA[<b>担当者より：</b>第４回目の山形浩生さんの書評連載です。著書<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4862381502/">『訳者解説』</a>（バジリコ）も好評発売中ですので、併せてお読みください。<br>
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<u>配信日：2006/04/26</u><br>
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前回ちょっと建築ネタを振ったが、住宅建築関連の本をいっぱい見ているのです。中でも、10坪（坪というのは3.3平米のことですわよ）くらいの敷地に建てる、マッチ棒みたいな家の工夫は見ていて楽しい。細野透<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/453216480X/">『ありえない家　トーキョー狭小住宅物語』</a>（日本経済新聞社）はなかでも特に変な家数件の成立をたどった楽しい本。「建築賞狙いでいけ！」という施主もすごいが、それに応えた建築家の解が実に異常。家を買ったり建てたりする人は、これを読んで自分の覚悟のほどを再検討するがよろしいかと。<br>
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また、実際に建てる人は杉浦伝宗<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4062691760/">『それでも建てたい!!　10坪の土地に広い家』</a>（講談社）がエッセンスをうまくまとめていて、しかもそれが日本の伝統的な建築様式とも似通った解になっているのに感心。<br>
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あと、いま日本で住宅の話をするなら、荒川修作センセイの天命反転住宅は避けて通れないところ。<a href="http://www.architectural-body.com/mitaka/">まずは見て！</a>　この幼稚園のできそこないみたいな代物が住宅！　しかも中身はもっとすごいよ。段差だらけで普通の生活はまず不可能、さらには既成部品が使えないために、50平米かそこらの住宅がものすごい価格になっちゃってるとか。<br>
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これは何？　と思った人は、こいつを特集した<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4891765666/">『水声通信』１号</a>（水声社）を読むと笑える。こんなバカな建築を、各種の建築家や評論家たちがおべんちゃらで持ち上げている。ちなみに上のページでも、何やら最近は脳科学の意匠をまとったお説教屋さんに堕している茂木健一郎がつまらないヨイショをしているのが読めるでしょ。命ですか。モーツァルトモードですか。チューリングの外にある世界ですか。へえ、ちゅごいでちゅねー。<br>
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ところがそんなにスバラシイはずの住宅が、なぜかさほど売れていないとか。不思議だねえ。ここを絶賛している建築家さんや評論家さんたちは、なぜここを買って住もうとしないんだろうねえ？　かれらの発言は、しょせん行動や責任をともなわない空疎な代物でしかないからだ。唯一、自分の発言に責任を持って買ったのはある女性作家だけだともきく。ぼくはその点で彼女を尊敬する。<br>
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科学書系でおもしろかった本がトム・スタッフォード、マット・ウェッブ<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4873112710/">『Mind Hacks』</a>（オライリージャパン）。すばらしい。脳科学の本はたくさんあるけれど、単に結果を教えるだけでなく自分で自分の脳を使ってあれこれ実験してみようという、科学する心の見本みたいな一冊。勉強にもなるし、それを確認するための実験も楽しい。自分でいろいろ試して見たい人は是非。<br>
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社会問題系では、ちょっとイスラムづいているのだ。小杉泰<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4815805350/">『現代イスラーム世界論』</a>（名古屋大学出版会）は、イスラームの発端から解き明かして未来のイスラム世界まで考察した大著でたいへん勉強になりそうだが、本文だけで800ページの大著でちょっと尻込み。<br>
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そんな人には池内恵<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4163680608/">『書物の運命』</a>（文藝春秋）を。安易な書評集かと思ったら、時事状況をふまえて国内の中東イスラームをめぐる物言いをわかりやすくまとめたとてもよい本。とくに、「オリエンタリズム」という概念を広めたサイードとその追従者たちに対する落ち着いた、だが鋭い批判は一読に値する。<br>
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そうそう、書きかけの最後で、あの構造主義人類学の重鎮レヴィ＝ストロースの大著<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4622081512/">『神話論理』</a>（みすず書房）の邦訳刊行がついに開始されたことを知る。30年以上にわたって待たされた本なので、たぶんこれからあちこちでヨイショが見られることになると思う。絶対に買ってはいけませんよ（といって、8000円の本をおいそれと買うヤツもいないか）。この本はねえ、学問のふりをして実は単なるブンガク、という困った代物で、その批判は長くなるから<a href="http://cruel.org/other/rumors2006_1.html#item2006041801">このあたり</a>に書いておいたものを読んでや。まあ、刊行されたことくらい知っておくと、なんとなく教養ありげな顔ができる、こともある、かなあ。無理か。<br>
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ただ、かれの洞察はたいへんに面白いので、もっとお手軽な本は読んでおく価値あり。講演録<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4582765432/">『レヴィ＝ストロース講義』</a>（平凡社ライブラリー）あたりは読みやすいし、一部の生命倫理なんていうものが単に前提となる習俗の問題でしかないことをあっさり指摘したりして大変に楽しいのでお薦め。<br>
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●山形浩生（やまがた・ひろお）<br>
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。<br>
サイト：<a href="http://cruel.org/jindex.html">YAMAGATA Hiroo Official Japanese Page</a>]]>
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