担当者より:ブロガーでギャルマーケットにも明るい大熊信さんに、その動向を人気ブログを通して分析していただきました。ぜひ、ご一読ください。
配信日:2010/02/03
今、ギャル市場が活況だ。SHIBUYA109は初売りから1万人を集め、出版不況のさなかギャル系ファッション誌は売り上げを伸ばしている。テレビでは益若つばさをはじめ、船山久美子や小森純といったギャル系カリスマモデルたちを見ることが多くなった。彼女たちのブログは数十万PVを集め、毎エントリ100件以上のコメントが寄せられている。現在(2010年1月28日)、amebaブログで並みいる芸能人を押しのけ総合ランキング2位につけているブログ「てんちむのちむちむライフ」の「てんちむ」からギャルブログの今を探りたい。
これを読んでいるほとんどのかたは、てんちむという奇天烈な名前に聞きおぼえないと思うが、彼女の本名は「橋本甜歌」といって1993年生まれの現在16歳。かつてはホリプロ所属のタレントとして『天才てれびくんMAX』などで活躍し、「カリスマ小学生」と言われていた。その後同い年の「紗綾」から始まったジュニアアイドルブームに乗りグラビアに進出。子供(女子小中学生)から大人(中年男性)まで幅広いようでいてものすごくコアなファン層の獲得に成功する。
順調な芸能生活を送っていたはずの彼女だが、2007年9月にタレントブログを開設したことで転機が訪れる。純真なジュニアアイドルだったはずの彼女が、根っからのギャルであることがブログにより可視化されてしまったのだ。ブログにアップされたプリクラの中の彼女は派手な豹柄の服を着ていて、「キャバ(クラ)やっちゃうもんねー」と書かれていた。
古より兄は妹の変化に困惑させられるものだが、イベントなどで「お兄ちゃん」と呼ばれていた大人たちは「妹」の変化受け入れられず大混乱。2ちゃんねる「【永遠のアイドル】橋本甜歌 【てんかりん】」スレッドは嘆きと怒りにあふれ、ブログもたちまち炎上した。そしてブログは閉鎖され、事務所のHPから彼女の名前は削除された。
しかし、すぐさま彼女は「CROOZブログ」でブログを再開する。CROOZブログはもともと携帯検索エンジンの会社ウェブドゥジャパン(現在は「CROOZ株式会社」に改名)が始めたブログサービス。PCネットユーザーにはなじみが薄いこのブログサービスは、機能のほとんどをモバイルに特化していて、携帯電話しかインターネットツールを持たない10代の女の子を中心に会員数は400万人にのぼる。
このブログの再開の時点で彼女は金髪の完全なギャルとなっており、「てんちむ」を名乗るようになる。彼女の使い始めたCROOZブログには、PCでは読むことができない購読者専用日記を書く機能がある。携帯電話でCROOZブログに会員登録し、好きなブログを購読登録することで読むことが可能になる。購読登録すると更新されるたびに携帯にメールが送られてくるというRSSリーダーに近い仕組みだ。CROOZはこの機能で会員数を増やし、また彼女も購読者専用日記をたびたび書くことで興味を誘い読者を増やしていった。
彼氏のことまでも堂々と書く赤裸々な内容のブログのせいで「大きなお友達」を完全に失ったものの、カリスマ小学生だった彼女の変化を「小さなお友達」はむしろ憧れの対象として支持し、CROOZブログ内のアクセスランキング1位を獲得するまでになった。彼女はCROOZブログにおいて2008年10月から2009年6月、2009年7月から11月と2度に分けてブログを使っていたが、累計PV数は1億5000万近くに上り、1日に平均すると40万以上になる。もはやタレントではない一般人の女の子のブログのPV数としては驚異的だ。彼女のブログの更新を待ちわびて携帯電話のブラウザで再読み込みボタンを連打する女子中学生の姿が想像できてちょっと怖い。
PVの計算方式はブログサービスによりまちまちで数字をそのまま受け取ることはできないが、この記事を書くにあたってCROOZブログランキングで上位にいる女の子にアンケートを取ったところ、その子のブログにはしばしばさまざまな業者からバナー広告の依頼がくるそうだ。広告料としては大体月5万円前後で、時には10万円近いものあり月30万円を稼いでいるとのこと。けた外れのPVを稼ぎだしていたてんちむのブログにおいては、それ以上の広告力=人を集める力があったことも想像できる。
てんちむはその後も喫煙写真をアップしたりと、赤裸々にもほどがあるブログ運営で物議をかもしながらCROOZブログを続けていたが、2009年11月に突如卒業宣言。そして2009年末にamebaブログへの電撃移籍となった。
サイバーエージェントは早くからギャルマーケットに注目しており、エントリ数に対するギャラを発生させることで各ギャル系雑誌のカリスマモデルといわれる女の子たちのほとんどをamebaブログに呼び込むことに成功した。「GaLMO」というギャル系モデルに特化したブログランキングのカテゴリまでも用意されていて、たびたびモデルとのコラボ商品の企画なども行ったりしている。読者と購買層がイコールで結ばれる最高の広告戦略といえるだろう。その中でサイバーエージェントがブロガー・てんちむに目を付けたのは自然な流れだとは思うが、16歳の女の子との契約に大きなお金が動いたりしたのだろうか……。私自身の収入を鑑みると涙を禁じえない。
ともあれ昨年末に開設されたてんちむのブログは今現在(2010年1月28日)、たった1カ月で居並ぶ芸能人ブログ、ギャルモデルブログを押しのけ、総合ランキング2位につけるまでになった。1位をとるのも時間の問題だろう。同じく女子中高生に圧倒的支持を受けている「前略プロフィール」に関するITmediaの記事では、サービスを提供している楽天の担当者が「なぜ流行ったのか、いまだに誰も理由がわからない」と答えている。
女子中高生に対するマーケティングの難しさを象徴するような発言だ。彼女のブログがここまで注目される理由を、彼女をずっと追いかけてきた私も正直分析することができない。我々大人たちが首をかしげているのをよそにブログの女王への道を突っ走る彼女の姿と、その彼女を支持して携帯電話を一心不乱にリロードする女の子を想像して震えているだけだ。
●大熊信(だいくま・しん)
1980年、千葉県出身。ブロガー。
ブログ:ダイナミック大熊
配信日:2010/02/03
今、ギャル市場が活況だ。SHIBUYA109は初売りから1万人を集め、出版不況のさなかギャル系ファッション誌は売り上げを伸ばしている。テレビでは益若つばさをはじめ、船山久美子や小森純といったギャル系カリスマモデルたちを見ることが多くなった。彼女たちのブログは数十万PVを集め、毎エントリ100件以上のコメントが寄せられている。現在(2010年1月28日)、amebaブログで並みいる芸能人を押しのけ総合ランキング2位につけているブログ「てんちむのちむちむライフ」の「てんちむ」からギャルブログの今を探りたい。
これを読んでいるほとんどのかたは、てんちむという奇天烈な名前に聞きおぼえないと思うが、彼女の本名は「橋本甜歌」といって1993年生まれの現在16歳。かつてはホリプロ所属のタレントとして『天才てれびくんMAX』などで活躍し、「カリスマ小学生」と言われていた。その後同い年の「紗綾」から始まったジュニアアイドルブームに乗りグラビアに進出。子供(女子小中学生)から大人(中年男性)まで幅広いようでいてものすごくコアなファン層の獲得に成功する。
順調な芸能生活を送っていたはずの彼女だが、2007年9月にタレントブログを開設したことで転機が訪れる。純真なジュニアアイドルだったはずの彼女が、根っからのギャルであることがブログにより可視化されてしまったのだ。ブログにアップされたプリクラの中の彼女は派手な豹柄の服を着ていて、「キャバ(クラ)やっちゃうもんねー」と書かれていた。
古より兄は妹の変化に困惑させられるものだが、イベントなどで「お兄ちゃん」と呼ばれていた大人たちは「妹」の変化受け入れられず大混乱。2ちゃんねる「【永遠のアイドル】橋本甜歌 【てんかりん】」スレッドは嘆きと怒りにあふれ、ブログもたちまち炎上した。そしてブログは閉鎖され、事務所のHPから彼女の名前は削除された。
しかし、すぐさま彼女は「CROOZブログ」でブログを再開する。CROOZブログはもともと携帯検索エンジンの会社ウェブドゥジャパン(現在は「CROOZ株式会社」に改名)が始めたブログサービス。PCネットユーザーにはなじみが薄いこのブログサービスは、機能のほとんどをモバイルに特化していて、携帯電話しかインターネットツールを持たない10代の女の子を中心に会員数は400万人にのぼる。
このブログの再開の時点で彼女は金髪の完全なギャルとなっており、「てんちむ」を名乗るようになる。彼女の使い始めたCROOZブログには、PCでは読むことができない購読者専用日記を書く機能がある。携帯電話でCROOZブログに会員登録し、好きなブログを購読登録することで読むことが可能になる。購読登録すると更新されるたびに携帯にメールが送られてくるというRSSリーダーに近い仕組みだ。CROOZはこの機能で会員数を増やし、また彼女も購読者専用日記をたびたび書くことで興味を誘い読者を増やしていった。
彼氏のことまでも堂々と書く赤裸々な内容のブログのせいで「大きなお友達」を完全に失ったものの、カリスマ小学生だった彼女の変化を「小さなお友達」はむしろ憧れの対象として支持し、CROOZブログ内のアクセスランキング1位を獲得するまでになった。彼女はCROOZブログにおいて2008年10月から2009年6月、2009年7月から11月と2度に分けてブログを使っていたが、累計PV数は1億5000万近くに上り、1日に平均すると40万以上になる。もはやタレントではない一般人の女の子のブログのPV数としては驚異的だ。彼女のブログの更新を待ちわびて携帯電話のブラウザで再読み込みボタンを連打する女子中学生の姿が想像できてちょっと怖い。
PVの計算方式はブログサービスによりまちまちで数字をそのまま受け取ることはできないが、この記事を書くにあたってCROOZブログランキングで上位にいる女の子にアンケートを取ったところ、その子のブログにはしばしばさまざまな業者からバナー広告の依頼がくるそうだ。広告料としては大体月5万円前後で、時には10万円近いものあり月30万円を稼いでいるとのこと。けた外れのPVを稼ぎだしていたてんちむのブログにおいては、それ以上の広告力=人を集める力があったことも想像できる。
てんちむはその後も喫煙写真をアップしたりと、赤裸々にもほどがあるブログ運営で物議をかもしながらCROOZブログを続けていたが、2009年11月に突如卒業宣言。そして2009年末にamebaブログへの電撃移籍となった。
サイバーエージェントは早くからギャルマーケットに注目しており、エントリ数に対するギャラを発生させることで各ギャル系雑誌のカリスマモデルといわれる女の子たちのほとんどをamebaブログに呼び込むことに成功した。「GaLMO」というギャル系モデルに特化したブログランキングのカテゴリまでも用意されていて、たびたびモデルとのコラボ商品の企画なども行ったりしている。読者と購買層がイコールで結ばれる最高の広告戦略といえるだろう。その中でサイバーエージェントがブロガー・てんちむに目を付けたのは自然な流れだとは思うが、16歳の女の子との契約に大きなお金が動いたりしたのだろうか……。私自身の収入を鑑みると涙を禁じえない。
ともあれ昨年末に開設されたてんちむのブログは今現在(2010年1月28日)、たった1カ月で居並ぶ芸能人ブログ、ギャルモデルブログを押しのけ、総合ランキング2位につけるまでになった。1位をとるのも時間の問題だろう。同じく女子中高生に圧倒的支持を受けている「前略プロフィール」に関するITmediaの記事では、サービスを提供している楽天の担当者が「なぜ流行ったのか、いまだに誰も理由がわからない」と答えている。
女子中高生に対するマーケティングの難しさを象徴するような発言だ。彼女のブログがここまで注目される理由を、彼女をずっと追いかけてきた私も正直分析することができない。我々大人たちが首をかしげているのをよそにブログの女王への道を突っ走る彼女の姿と、その彼女を支持して携帯電話を一心不乱にリロードする女の子を想像して震えているだけだ。
●大熊信(だいくま・しん)
1980年、千葉県出身。ブロガー。
ブログ:ダイナミック大熊
