担当者より:山本一郎さんは「切込隊長ブログ」で知られる論客で、最新刊『ネットビジネスの終わり』(PHP研究所)も話題になっています。タイムリーな問題について論じるこの連載は、メルマガ「週刊ビジスタニュース」の立ち上げの頃から続いているものです。今回の原稿は鳩山政権が発足して一カ月の状況について論じていただいたものです。また、ブログにアップする段階でリンク先がすでにリンク切れになっているケースも多いので、その場合はリンク先のタイトルのみを記載しようかと考えております。

配信日:2009/10/14


●グダグダに見えても支持率70%の鳩山政権の怪●


基本的に「政権の安定は国益に資する」という前提で、発足一カ月を過ぎた鳩山政権が高支持率のまま推移しているのは歓迎すべきことではあるのですが、指名した閣僚の微妙さ具合や、国家戦略局の早々の骨抜き問題など、もう少し腰を据えてやって欲しい政策課題がてんこ盛りになっています。

■鳩山内閣の支持率65% 朝日新聞10月世論調査■

■NHK世調 内閣支持率70%■

また、同時に自民党に「立ち直って欲しい」と復活を願う人という意味では8割を超える一方、谷垣総裁では自民党は変われないと考える人が66%と、複雑な日本人の心境をまんま表している感じがします。

ただし、民主党の地すべり勝利とはいいつつも、実は2009年の選挙の得票率は自公38%、民主42%と拮抗しているのもまた事実であって、小選挙区制のマジックがあたかも民主党を国民がもろ手を挙げて支持したように見えても実際にはそれほど圧倒的な差ではないということを念頭に置いて考えるべきだろうと思います。

■衆院選[第45回, 2009年]の開票結果を読む+選挙制度を考える■

個別閣僚で見ますと、原口一博氏が預かる総務省では2010年度予算の概算要求で、エコポイント制度を盛り込まない方針を固めたのを皮切りに、八ッ場ダム問題では国交大臣に就任した前原誠司氏が立ち往生したりといった、選挙と政策の壁にぶつかるケースが増えてきたように感じます。

ミスター年金と言われて注目と期待を集めた長妻昭厚生労働大臣や、金融財務を預かる亀井静香氏、藤井裕氏の不規則な発言がきっかけで円高に振れたり株安に転じたりする動きを見せたのも興味深い現象です。

自民時代のプロビジネス、すなわち企業優先の経済政策から、民主党のアンチビジネスというべき家計寄りの経済政策にシフトした結果、現在は国民もそれほど文句を言うべき状況にないので支持率もそう下がらないのかなというようには感じます。

ただし、企業が雇用を増やす動機がなくなり、公共事業の見直しで地方経済がより疲弊する結果、これを立て直すために育児補助などのバラマキが出たのでは本末転倒なので、ここから先の経済運営には注視していく必要があるようにも思えます。

まあ、できないことをできると宣言して選挙に勝ったのだから、まだ高揚感があるうちに落としどころを考えておいてくださいね、というのが一国民としての切なる願いなのであります。


●山本一郎(やまもと・いちろう)
イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
著書に『“俺様国家”中国の大経済』、『情報革命バブルの崩壊』(ともに文春新書)、『ネットビジネスの終わり』(PHP研究所)などがある。
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